ベルギー南部ワロン地域紀行~その2~ | ベルギーの旅行記

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ベルギー南部ワロン地域紀行~その2~

エリア
ベルギー
/ベルギー
テーマ
周遊
時期
2015/10/8~2015/10/8
投稿日
2015/10/30
更新日
2020/3/18
投稿者
小圷 孝幸

ベルギー・ワロン地域紀行の2日目は、デュルビュイを早朝に発ち、城砦とサックスの街、ディナンを観光したのち、ワロン地方の美しい村、ファラエン、ソソワを、廃線跡の線路をレイルバイクで移動し、マレッツ修道院で名物のビールとチーズをいただきます。

  • 朝からビール!

     ここまで幾度かお世話になったTECバスですが、平日の朝は専ら通学バスになるようで、宿泊地デュルビュイからSNCBの駅まで行くバスは、07:15と08:00の2本しかありません。(このうちどちらかのバスを逃すと、学校が終わる昼過ぎまでバスの便はなく、タクシーのお世話になる他ありません…)


     前に少し書いた「鉄道をそのまま行くと遠回りになり、TECバスを使うとショートカットできる」ポイントがまさにここのことで、デュルビュイを07:15発のバスに乗り、Melreuxで鉄道に乗り換え、ふたたびのMarloieで電車を乗り換えると、Cineyという街に着きます。ここから本日の午前の目的地、Dinantへショートカットバスがあり、Dinantへ10:00前に着くことができます。午後の目的地Falaën行きのバスは1日1本のみ13:07発ですので、おおよそ3時間ほどDinantの観光に充てられる計算になります。


     と、ここまでは出発前の机上のプラン。これを実行するためにデュルビュイのホテルを7時少し前に出ます。いや出たいのですが、ホテルのフロントに人がいません。奥にいくら声をかけても、レストランに行っても、誰もいません。7時を回り、通学バスの時刻が迫ってくるうち、やっと掃除のマダムが現れ、「フロントは8時にならないと開かないよ。」と言います。幸い精算する必要がなかったために、マダムに「すみません、7時のバスに乗らなければならないので、伝言を残して部屋のキーをここに置かせていただきます。」と断って、何とかホテルを出ます。


     ホテル前のバス停で待つうち、8割がた生徒で埋まったバスがやってきます。まだ空は真っ暗です。この子たちは1日1本のバスで、毎日暗いうちから学校に行っているのです。Melreuxに着くまで、3つほどの集落を寄り道して生徒たちを拾い、やっと空が明るくなり始めたころ、Melreuxに着きました。予定の電車の1本前の電車に間に合い、乗り換えのMarloieで駅前を散策する時間ができました。


     列車を乗り換え、次の駅が下車駅Cineyです。Cimayシメイという有名なベルギービールがありますが、それとは何の関係もなく、ただこのシネイにも同名の地ビールがあります。本日の朝食はサンドイッチとCiney地ビールにしようと、駅前を探します。駅の中にCaféがありましたがまだ営業前、少し歩くとパン屋と酒屋を見つけました。そこでパン屋にサンドイッチを作ってもらってから酒屋に入ります。酒屋の棚にはCimayビールはありますが、肝心のCineyビールがありません。店頭に出てきたマダムに「Ciney Bièreが飲みたいんですけど…」「Cineyは置いてないわ。坂を上がって右手にスーパーマーケットがあるからそこで買って。」~ふーんそういうものなのか…


     しばらく坂を上がるとカルフール(エクスプレス)があり、お店はもう開いています。都合のいいことに、Dinant行きのバスは、カルフールの目の前のバス停にも止まることを確認し、念願のCineyビールを入手し、バス停のベンチで朝食といたします。

  • 城砦とサックスの街ディナン~Dinant~

     このCineyから途中のYvoir(後で立寄ることになりますが…)までは、夏の期間だけですが、廃線跡にSLを走らせているとのこと、いつか来て乗ってみたいものですが、この日は曇り空、バスは案外あっけなくディナンの街に着いてしまいました。


     バスに乗っていた私を除く全員が橋を渡る手前で下車したので、つられて私も下車。ここが有名な城砦へ上る入口のようです。ちょうど10:00になったところで、ロープウェイが動き始めたところでしたが、後で乗る1日1本のバスに乗り遅れるわけにもいかず、ここは一旦駅に向かって橋を渡り、駅前のバスターミナルとバス停の位置を確認することにします。この駅と城砦とを結ぶ橋が、シャルル・ド・ゴール橋、袂には彼の銅像があります。橋の歩道の途中に、色とりどりのデザインが施されたサクソフォンの模型があり、ここがサクソフォンの祖、アドルフサックスのふるさとだということを教えてくれます。


     バス停の位置を確認してから再度橋を渡り、城砦へのロープウェイに乗って山上へ。城砦の中は第一次世界大戦歴史博物館のようになっており、ムーズ河沿いの重要な軍事拠点だったディナンが、何カ国もの侵略に晒され、いかに歴史を刻んできたのかを解説してくれます。この日は曇り空でしたが、晴れた日にはこの素敵な街を一望できるポイントです。博物館を一通りまわり、下に降りてノートルダム教会のステンドグラスを見ていると、そろそろバスの時刻です。


    写真左:ディナン駅側から見たシャルルドゴール橋と彼の銅像。橋の向こうに城砦と教会。

    写真中:サックスの模型が橋の上に。

    写真右:山上からのぞむディナンの街並。

  • 廃線跡をレイルバイクでマレッツ修道院へ!

     予定通りディナン駅前から1日1本のTECバスでFalaënへ。ファラエンに着くといきなり雨が降ってきました。バス停から目的のレイルバイク乗り場に急ぎ、雨具を着て人の来るのを待ちます。


     このレイルバイク~昔の鉄道の廃線跡を利用し、自転車で線路を走る~には、日本出発前に予約のメールをしておりました。ベルギー観光局ワロン・ブリュッセルのウェブサイトにも掲載されていて、「ファラエン~マレッツまで往復のプランあり。」とあります。


    ベルギー観光局ワロン・ブリュッセルのサイト http://www.belgium-travel.jp/wallonia/dinant.html

    Railbikeのサイト http://www.molignee.be/


     そこで事前に「ファラエン→マレッツまで片道のプランはありませんか?マレッツからバスでナミュールに帰りますので。」という意味のメールで問い合わせておりました。すぐにMonsieur Pierreから返信があり、「詳しいことはここに来てから説明するが、帰りのバスの時刻が曖昧なので、もしよければ、レイルバイクでファラエンまで戻ってきた後で、近くのSNCBのYvoirの駅まで送ってあげるよ。」と嬉しい返事をいただいておりました。当日ボクはいないけれど、誰かに引き継いでおくから、と。


     ほどなく担当の方が現れ、雨の中を目的地マレッツ修道院~Maredsous Abbayeまでレイルバイクの旅が始まります。あいにくの雨模様でしたが、出発地Falaënも、途中のSosoyeも、「ワロンの美しい村」に指定されている村々です。


    ワロンの美しい村 http://www.beauxvillages.be/


     20分くらい自転車のようなものを漕いだでしょうか。昔のMaredsous駅に到着。ファラエンにいたおじさんが車で先回りして待っていてくれました。さて帰りはどうしたものか…


    私「帰りはどうしたらいいでしょう?」

    おじさん「○△×□##~4 euro##」(早い話がフランス語が聞き取れず、4ユーロ?)

    私「4 euro?お金が必要なの?」

    おじさん「Non Non 4 euro ## ○△×□」

    ここでおじさんは私に理解させることを諦め、ちょうど修道院の観光を終えて戻ってきたイングリッシュスピーカーに助けを求めました。

    観光客「この人はFour O'clockにここへ戻って来いと言っているよ。」

    なんと私は、euroとheureとを聞き間違えていたのでした。そこでおじさんにダコール!4時に戻るよ、と伝えて、歩いて修道院に向かいました。


    写真左:レイルバイクと遠足で来ていた地元の高校生。

    写真中:途中のSosoye駅。

    写真右:Maredsous駅到着。


  • マレッツ修道院~Maredsous Abbaye~でふたたびビール

     旧マレッツ駅からトンネルを抜け10分ほど歩くと修道院への小道が分かれ、さらに5分ほど坂を上ると修道院が見えてまいります。とは言っても修道院自体は非公開、外観を見られるだけです。観光客が入ることができるのは、修道院で作られているビールやチーズをいただけるカフェのある建物です。日本で言えば、函館のトラピスト、トラピスチヌ修道院のようなものでしょうか。現在ビールは修道院からライセンスを得てビール会社が造り、チーズはいまも修道院で作られているそうです。


    写真左:修道院、ではなくカフェの入っている建物。この中でビールやチーズを食べ、お土産を購入できます。

    写真中:ビールとチーズ。朝食に続き昼食もビール。

    写真右:こちらが本当の修道院。内部非公開。

  • ご厚意に甘えて駅まで送っていただく

     約束の16:00にマレッツ駅に戻ると、駅には地元の高校生が遠足に来ていました。その中の1人が日本に興味があり、かなり流暢に日本語を話すので、ひと時の日白交流会のような場になります。雨も上がり、復路は美しい自然を楽しむ余裕もありました。


     ファラエンに戻り、高校生たちと別れたのち、ご厚意に甘えてイヴォワールの駅まで送っていただきます。この場でお会いできなかったピエールさんへの謝辞を何度も伝え、おじさんに別れを告げます。イヴォワールの駅でブリュッセル行きの列車を待つ間、こちらへの再訪を心に留めるのでした。TECのバスチケットの有効期限が切れる前に…


    写真左:おじさんに撮っていただいた唯一の自分画像。

    写真中:雨上がりの旧Falaën駅舎兼Railbike事務所。

    写真右:列車待ちのYvoir駅前からのぞむムーズ川。

  • いくらなんでも三食ビールは…自重!

     Yvoirから乗ったICは、BruxellesのLuxembourg駅に停車した後、中央駅、ミディ駅方面には行かず郊外に抜けてしまうので、一旦Luxembourg駅で下車、ここから今夜の宿泊ホテルがあるミディ駅前までトラム&メトロで行こうか、このままSNCBで行こうか、思案しながら駅前(広場)に出ると、会社帰りのサラリーマンやOLが大勢、ビールジョッキ片手に盛り上がっています。どうも木曜の夜に開催される野外ビアパーティのようです。その人ごみでトラムの乗り場を見つけることができず、再度SNCBの駅に引き返し、→シューマン駅→北駅→中央駅→ミディ駅とブリュッセルの街を半周する普通列車が来たので乗り込み、ミディ駅へ。今夜のホテルはミディ駅直結のHotel Pullmanなので便利です。チェックインののち、「ブリュッセルで一番おいしいフリッツ」と言われているフリッツ(ポテトフライ)を求めて、市内南西部のFlagey広場を目指します。ちょうど先ほどのルクサンブール駅方面へ引き返すことになります。


     ミディ駅の地下に降り、リエージュで求めたTECバスのICカードMOBIB basicを、メトロの自動券売機GOにかざして、24時間券をダウンロードします。自分の場合12時間もあれば十分なのですが、そういうフレキシブルなラインナップはございません。ただ、MOBIBを持っていないと、紙のきっぷの1日券を購入せざるを得ず、これは1暦日有効ですので、このときのように「当日の午後から翌日の午後まで」市内観光をしたい!というような場合には、紙の1日券は不向きです。(2日分必要です。)MOBIBにダウンロードする24時間券は、最初に自動改札にタッチした時から24時間有効で、料金はどちらも7.5euroです(2015年10月現在)。


     ちょうどミディ駅前から目的地のフラジェ広場へ直行する81番のバスがありましたのでそれに乗ります。しかし、この日はちょうど道路改良工事か何かをやっていて、81番は途中のHoltaのあたりで全員下車し、工事区間を徒歩で移動して再度バスに乗るように、とのことでした。言われたとおりにいったん下車し、案内の通りに少し歩いて、再度乗りこんだ81番は、フラジェまで行かないバスで、再び下車。幸いその地点からフラジェまでは歩けない距離ではなかったために、次のバスを待たずしてフラジェまで歩き、やっと広場に着きました。


     広場の一角に小さなしもたや風の店舗があり、店の前には行列ができています。近づいてみると、その行列は、行列のようでもあり、行列ではないようでもあり、早い話が、注文してフリッツの出来上がりを待つ人々と、注文を待つ人々とがカオス状態になっています。初めて訪れる外国人(つまり私)が、しばし立ちすくんでしまったことは言うまでもございません。


     そうこうして、何とか注文→ソース選択→飲み物追加→受け取りとをこなして入手したのがこちらです。ソースはこちらで大人気(ここで並んでいた人々の3割はこのソースを選択していました!)のSamourai Sauce、マヨネーズにチリペーストのピリ辛ソース、飲み物は当然缶ビール、でも良かったのですが、そうなると朝昼晩三食ビールということになってしまいます。ここは自重してコーラゼロに。広場のベンチで、ベルギー最後の晩餐を楽しんだのでございます。

  • 鉄道ストの日に、ブリュッセル市内おのぼりさん観光

     フラジェからはトラムとメトロを乗り継ぎホテルまで戻ります。


     翌10月8日は、何とSNCBのストライキが行われます。(このことは日本出発直前にわかっていました。)しかしながら、何と運の良いことか!この日は仕事の都合で、夕方までにパリに戻らなければならず、私の持っているユーレイルセレクトパス5日間用のうち貴重な1日分をブリュッセル→パリのみで使ってしまうのがもったいなかったこともあり、当初からバス移動(例のOUIBUS~ブリュッセル→パリ間15euro!)にしておりました。パリまで4時間近くかかりますが、貴重なユーレイルパスの1日分をストライキで無駄にすることもなく、運休のThalysを振り替える手間もかけずに、予定通り半日、ブリュッセルのおのぼりさん観光ができたことを、強運と言わずに何というでしょう!


    写真左:世界一有名な世界遺産に登録されている広場グランプラスの一角。この日は晴天できれいな写真が取れましたが、建物が大きすぎで全景が入らないのが難点。

    写真中:ブリュッセル一の人気者。

    写真右:グランプラスからレストラン街に入った路地の奥にある、女の子バージョン。小僧さんに比べそんなに観光客が押し寄せることもないので、金柵の間からアップで撮影することもできますが…掲載は控えさせていただきます…